従来型プッシュプル回路の問題点を解決した
16A8 全段差動Push-Pull製作記

※16A8はひとつの真空管内部に電圧増幅3極+電力増幅5極が収められた9ピン・MT複合管で、
もともとはトランスレス・テレビ(垂直発振・出力)用に開発されたものです。


全段差動プッシュプルアンプの詳細については、「情熱の真空管」こと、ぺるけ氏のホームページをご覧に
なられますと親切丁寧な解説をされています。                  ⇒回路図はこちらにあります。

(上記はあくまで完成時の部品単価総額です。シャーシ加工用工具類などを新規購入される場合は、かなり高くつきます。)

注意※真空管アンプの内部は、数百ボルトの高電圧がかかっています。 感電、火災、破裂などの事故に十分注意して下さい

準備しましょう
・鍵がなくなってしまった手提げ金庫を使用します。
(落書きがあったり、シールが貼られたりしていましたが、
塗装を剥がせばこんな感じになりました)

※概寸310×240×80で高さに余裕があるため内部に
電源・ヒータ用トランスを入れることにします。
・シャーシ内側も塗装を剥がしましょう。
(作業が結構大変なので適当に中断しました)
電源トランスはケース内部に収まるため、伏型ではなく
バンド型の廉価な絶縁トランスを使用します。
・パーツレイアウトを決めましょう。
(パーツを仮置きしてバランスを確かめます)
・実体配線図を書いてみました。
(回路図だけで製作にかかると配線があっちこっちに行って
しまった経験があります。水の流れる如く、または一筆書きの
ようにしなやかな配線を心がけましょう)

※複合管はソケット周りの配線が混雑しますので初段と出力段の
信号線が交差しないように注意し、上下の配線は出来るだけ密着
させるように心がけると良いようです。
・複合管・松下製16A8です。
ケース加工をしましょう
・正確なポンチングを行いましょう
(自己満足を得るために、寸分の狂いなく位置決めを
行います。これぞ職人魂!?)
・細めのドリルで下穴を開けます。
・丁寧に穴あけを行っていきます。
(CRC556をドリルにスプレーしながら作業していきます)
・穴あけはご覧のように完了。
(鉄板が薄いので穴あけは容易でした)
塗装しましょう
・やっぱり落ち着いた色に変更、チョコレートブラウン。
(アクセントにちょっとだけ黄色を残してあります)
パーツを取り付けていきましょう
・今回電源用に使用するノグチ絶縁トランスです。
(入力が100Vで使用しますので並列結線で使用します。
※200Vで使用の場合は直列結線とします。)
・パラに結線してスパークキラーを付けています。
ラグ板に組んでいきましょう
・では、電源部より組みます。
(150Ωのセメント抵抗を買い忘れていましたので220Ωを2本直列
440Ωにしてさらに220Ωとパラにして≒146.6Ωにしました)
・左右のアンプ部も組みます。
・LM317と放熱板の熱伝導性を高めるためシリコンを塗る。
・塗る量はほんの少しでいいようです。
配線しましょう
・軽い部品のみ取り付け配線を行います。
(トランスなどの重量があるパーツを先に取り付けますと
作業性が悪化しますので後回しにします)
・左右ソケット周りの配線の様子。
(出来るだけ信号線が交差しないように心がけます)
・ヒータ用低電圧(16V)トランス
(交流配線はねじっておくと良いでしょう)
・左側に絶縁トランス。
(Eと書かれた端子はシールドですのでアースに落とします)
・アンプ部の配線がほぼ出来上がっていきます
(LM317が宙に浮いています、こういうところは真似をしないで下さい)
・アウトプットトランスを取り付けます
・OPT(出力トランス)を配線します。
(長いリード線をぐるぐる巻いています。真似しないでください
短くカットしたほうが良いに決まっています)
・B電源・C電源を配線します。
・ほぼ出来上がりました。
(NFBはまだ配線していません。チェック後に繋ぐこととします。
誤って正帰還となった場合は゛オギャー″とスピーカーが産声を
上げ家族の大顰蹙をかいますので・・・)
配線などをチェックしましょう
・配線不備、忘れ、誤接続などがないか確認しましょう。
電圧をチェックしましょう
・各部の電圧をチェックします。
(多少の誤差は大目に見るようにしています、大きく外れて
いなければ大丈夫でしょう)
・デジタルテスターを購入しました。
試聴しましょう
・さあ、聞いてみましょう。
(問題なく音は出ています)
・しばらくエージングしておきます。
ちょっと問題が・・・
・電源投入時に過大電流が。

※後でわかったことなのですが、立ち上がりを早くするための
松下の球特有のもので心配要らないそうです、、、納得!
・通常はほんのりヒータが赤熱する程度です。
(写真でわかりづらいですが、シャーシにヒータが反射している)
・AC電源入力部にパワーサーミスタを入れてみました。
(症状が改善をされたため、これで良しとします)